NHLでは毎年オフシーズンに、各チームが若手選手を獲得する一大イベント「エントリードラフト」が開催されます。
でもNHLって31チームもあるし、複雑そうでよくわかりませんよね?
そこで、今回はNHLエントリードラフトの仕組みを解説します!
推しのチームの動向をチェックするもよし、未来のスーパースターに目星をつけるもよし、それぞれのスタイルで楽しみましょう!
NHLエントリードラフトとは
NHLエントリードラフトは、NHLの各チームが北米の18歳−20歳、ヨーロッパおよびその他の国の18歳以上の若手選手との入団交渉権を獲得するイベントで、毎年プレーオフ終了の2−3ヶ月後に行われます。
各チームは1ラウンドに選手を1人ずつ、最大7ラウンド指名します。
1963年にNHLアマチュアドラフトとして第一回目が開催され、1979年にNHLエントリードラフトへと名前を変えて毎年開かれています。
NHLエントリードラフトでは、チーム力の均衡を目的として、基本的にはシーズンの成績が低いチームが選手を早く指名できるようになっています。
これにより、実力が劣るチームに有望な若手選手が集まるようになり、数年後のチーム再建の助けとなっているのです!
選手の参加資格
北米でプレーしている場合、その年の9月15時点で18歳以上、12月31日時点で20歳以下の選手がドラフト候補として参加できます。
また、北米以外でプレーしている選手は9月15日時点で18歳以上であれば、年齢の上限なくドラフト候補として参加できます。
北米の選手があるチームに指名されたにもかかわらず、そのチームと入団契約を結ばなかった場合、翌年以降も参加資格の年齢であれば再びドラフトに参加できます。
ただし、二度目のドラフトを終えてもどのチームとも入団契約を結べなかった場合は、フリーエージェントとしてすべてのチームと自由に契約することができます。
また、北米の選手はドラフト参加経験の有無にかかわらず、21歳になればどのチームとも自由に契約することが可能です。
北米以外の選手は、一度ドラフトに参加していれば、それ以降は年齢に関係なくどのチームとも契約することができます。
ドラフトは若い選手の不当な青田買いを防ぐための制度なので、どのチームにも全ての選手との交渉ができるチャンスを与えるような仕組みになっていると言えますね!
指名の順番
ドラフトの指名順も、31チームもあるので決めるのに一苦労します。
ここでは、そんな指名順の決め方について説明していきます!
基本的な指名順の決め方
ドラフトでの指名順は、くじ引きと直前のレギュラーシーズンの成績、プレーオフの成績の3要素の組み合わせで決まります。
指名順は、大まかにいうと以下のように決定されます。
- 直前のシーズンにプレーオフに出場できなかったチームが、1−15番目の指名権を獲得。
- プレーオフに出場したチームのうち、レギュラーシーズンでディビジョン1位の成績ではなかった、かつプレーオフの準決勝(カンファレンス ファイナル)に進めなかったチームが、16−23番目※の指名権を獲得。
- レギュラーシーズンでディビジョン1位だったが、プレーオフで準決勝に進めなかったチームが、24−27番目※の指名権を獲得。
- プレーオフの準決勝で敗退した2チームが28番目と29番目の指名権を獲得。
- プレーオフ準優勝チームが30番目の指名権を獲得。
- プレーオフ優勝チームが31番目の指名権を獲得。
※グループ2とグループ3のチーム数は、レギュラーシーズンでディビジョン1位だったチームが準決勝(カンファレンス ファイナル)に進出できるかどうかで変動します。
また、1−6の各グループ内の指名順は、レギュラーシーズンの獲得ポイントが少ないチームが早く指名できるように決定されます。
ただし、グループ1の1ラウンド目だけは、くじ引きによって1−15番目の指名順位が決まります。
くじ引き(ドラフト ロッタリー)
レギュラーシーズンが終了し、プレーオフに出場できないことが決まった15チームは、ドラフト1ラウンド目の指名順位を決めるくじ引き(ドラフト ロッタリー)に参加します。
このくじ引きでは、1ラウンド目の1−3番目の指名権を15チームが争います。
当選確率は平等ではなく、レギュラーシーズンのポイントが少なかったチームが上位の指名権を獲得できるよう確率が調整されています。
最下位のチームは1番目の指名権を18.5%の確率で引き当てられますが、15位のチームが引き当てる確率はわずか1%です!
結構露骨ですが、これによってチーム力の均衡を図りながら、どのチームにもワクワクのチャンスが残るようなうまい仕組みになっています。
3番目までの指名権がくじ引きで決まった後は、4番目−15番目はレギュラーシーズンのポイントが少ない順に決まります。
また、2ラウンド目以降はレギュラーシーズンのポイント通りに、最下位のチームが1番目に、17位(プレーオフを逃したチームの中で最高位)のチームが15番目に指名していきます。
このドラフト ロッタリーは下位に沈んだチームとそのファンにとって、貴重なオフシーズンの楽しみです!
ロッタリーの日には、各チームのファンの悲喜交交な様子がSNSなどにアップされて面白いですよ!
NHLオタクたちのリアクションにも注目です!笑
閑話休題:史上最大の下克上?
ドラフトでは当然ながら、1ラウンド目で指名された選手たちがスーパースター候補として脚光を浴びます。
しかし、後半のラウンドで指名された選手の中からも、大化けする選手がちらほら出てくるのが面白いところです。
下馬評を覆した代表選手は、僕が大好きなニューヨーク レンジャーズの守護神、ヘンリク ランドクヴィスト選手!
彼は2000年のドラフトで7ラウンド目、全体を通して210人中205番目に指名されたにもかかわらず、入団直後から名門レンジャーズの正ゴーリーとして20年間活躍し続け、チームMVP9回、リーグ最優秀ゴーリー1回受賞、オールスター5回出場と輝かしいキャリアを築いています。
オリンピック、世界選手権でもスウェーデン代表の守護神として金メダルを獲得し、NHLでの通算勝利数は歴代6位と、アイスホッケーの殿堂入り間違いなしと言わる名選手です。
「キング オブ ニューヨーク」としてファンからもメディアからも親しまれ、長年にわたりチームに多大な貢献をしてきたランドクヴィスト選手。
下位指名からこんな選手が出てきたら、他チームはハンカチを噛んで悔しがることでしょう!
まとめ
世界中の若手選手の夢への第一歩であるエントリードラフトについて、仕組みはおわかりいただけたでしょうか?
1ラウンド目で指名された選手たち、その中でも特に1桁台の順番で指名された選手はスーパースター候補筆頭なので、ぜひチェックしてみましょう。
ドラフトから選手を追っていけば、自然とその選手にもチームにも愛着が湧くはず!
NHLをさらに楽しむエッセンスとして、エントリードラフトに大注目です!!
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