NHLファンのためのチーム解説シリーズ!
第4回目は、デトロイト レッドウィングス (Detroit Red Wings) を紹介します!
基本情報
デトロイト レッドウィングスは、アメリカのミシガン州デトロイトに本拠地を置くチームです。
リーグの創成期を支えたオリジナル シックスの一角として、1926年からNHLで戦っています。
レッドウィングスは長くジョー ルイス アリーナを本拠地としていましたが、2017−2018年シーズンからリトル シーザーズ アリーナに本拠地を移転しました。
デトロイト レッドウィングスの基本情報は以下の通りです。
所属カンファレンス | イースタン カンファレンス |
所属ディビジョン | アトランティック ディビジョン |
創立年 | 1926年 |
ホームタウン | ミシガン州 デトロイト |
ホームアリーナ | リトル シーザーズ アリーナ |
チームカラー | 赤、白 |
プレーオフ優勝 | 11回 |
レギュラシーズン1位 | 6回 |
チームの歴史
デトロイト レッドウィングスは、当時存在していたWHLというリーグに所属していたチーム「ビクトリア クーガーズ」から選手を買い取る形で、1926年に誕生しました。
当時のチーム名は「デトロイト クーガーズ」でしたが、成績が上がらなかったチームは1930年に「デトロイト ファルコンズ」に改名。
しかし、それも浮上のきっかけにはなりませんでした。
そして1932年、ジェームズ E. ノリスさんがチームを購入すると、ノリスさんはまずチーム名の変更に乗り出しました。
ノリスさんは以前モントリオールのアマチュアスポーツ協会に所属していましたが、そこで使われていたのが羽とタイヤを模したエンブレムでした。
「このロゴを赤くしたら、自動車産業が盛んなデトロイトでプレーするチームにはぴったりじゃないか!」というノリスさんの思いつきにより、今のロゴと「レッドウィングス」という名前が生まれたのです!
レッドウィングスとして再出発したチームは、一躍強豪へと変貌を遂げます。
1931−1932年シーズンから1965−1966年シーズンまでで、プレーオフを逃したのはわずかに4回!
その間に7度もスタンレーカップを獲得し、一時代を築きます。
しかし、一転して1966−1967年シーズンからは暗黒期へ。
1982−1983年シーズンまでの16年間でプレーオフ進出はわずか2度と低迷してしまいます。
この時代のレッドウィングスは「デッド ウィングス(死んだ翼)」と言われ、その低迷の一因となったヘッドコーチのハークネス氏の名をもじって、「ダークネス ウィズ ハークネス」と揶揄されました。
どん底に沈んだチームでしたが、1983年にスーパールーキーのスティーブ アイザーマン選手を獲得したことにより状況は一変!
アイザーマン選手は1年目からチームのトップスコアラーとなる大活躍で、その後もキャプテンとしてチームの再建に大きな役割を果たします。
1996−1997年シーズンには、実に42年ぶりとなるスタンレーカップを獲得!
その翌年も決勝でワシントン キャピタルズを破り、2連覇を果たして名門の完全復活を印象付けました。
それ以降も黄金期を続けたレッドウィングスは、2007−2008年シーズンにチーム史上11度目となるスタンレーカップを獲得。
スウェーデン人のディフェンス、ニコラス リドストローム選手がキャプテンとしてチームを率いましたが、北米出身以外の選手がキャプテンを務めるチームがスタンレーカップを手にしたのはリーグ史上初めてという快挙を成し遂げました。
以降は優勝から遠ざかりますが、1983−1984年シーズンから2015−2016年シーズンまで、32シーズン中30度のプレーオフ進出という圧倒的な安定感を見せたレッドウィングス。
長くホームアリーナだったジョー ルイス アリーナが閉場され、ラストシーズンとなった2016−2017年以降は再建期が続きますが、NHL屈指の名門がいつまでもスポットライトの外にいるとは考えられません。
多くのホッケーファンが、またプレーオフで躍動する赤いユニフォームを心待ちにしています!
豆知識
NHLで最も歴史の長いチームのひとつであるデトロイト レッドウィングス。
そのせいなのかはわかりませんが、面白い豆知識がいくつかあるのでご紹介します!
「ホッケータウン」として商標登録?
レッドウィングスは、NHLの中で最も人気で、成功を収めているチームのひとつです。
地域のファンやコメンテーターは、誇りを持ってデトロイト地域を「ホッケータウン」と呼ぶのですが、これは1996年にレッドウィングスによって商標登録されています!
ホッケーのメッカとして公式に認められ、堂々と名乗れるなんて羨ましい!
タコが飛んでくる!
レッドウィングスのプレーオフの試合では、タコがリンクに投げ入れられます。笑
この風習のきっかけは、1952年のプレーオフでのある出来事でした。
地元で魚屋を営んでいたクジマーノ兄弟が、当時プレーオフ優勝に必要だった勝利数「8」にちなんで、8本足のタコをリンクに投げ入れたのです!
すると、レッドウィングスはそのプレーオフで8連勝し、見事優勝!
そこから、プレーオフ優勝のおまじないとして、レッドウィングスのプレーオフではタコを投げ入れる風習が定着しました。
現在でも、プレーオフの試合では「アル」と呼ばれる巨大なタコのマスコットが2匹天井に吊るされます。
今のフォーマットではプレーオフ優勝までに16勝しないといけないので、2匹になっているんですね。
律儀です!笑
観客が大熱唱!
シーズン終盤やプレーオフの試合で、レッドウィングがリードした状態で残り1−2分を迎えると、アリーナに大音量で「Don’t Stop Believin’」という曲が流れます。
それに合わせてファンが大熱唱するのですが、特に痺れるのが「Born and raised in south Detroit(デトロイトの南で生まれ育った)」という歌詞のパートだけ音が止まり、ファンの声のみが鳴り響くところ!
こういう「ファンにしかわからない文化」って、地域に根差したチームの醍醐味って感じがして大好きです!
ホームタウン
レッドウィングスの本拠地であるリトル シーザーズ アリーナは、ミシガン州デトロイトの中心地に位置しています。
デトロイトは自動車を主要産業とする「モーターシティー」として知られており、レッドウィングスのロゴの車輪もここから来ています。
音楽が盛んで、アメリカ10大アメリカオーケストラのひとつであるデトロイト交響楽団の本拠地が市内にあります。
また、スポーツ都市としても非常に有名で、デトロイト タイガース(野球)、デトロイト ライオンズ(アメフト)、デトロイト ピストンズ(バスケ)、そしてデトロイト レッドウィングス(アイスホッケー)と、アメリカ4大スポーツが一度に楽しめます!
アメリカ屈指の国際都市であるデトロイト。
アイスホッケー観戦はもちろん、それ以外にも楽しめるコンテンツがたくさんあるので、一度は訪れてみたいですね!
近年の成績
レッドウィングスの直近5年間の成績は以下の通りです。
シーズン | ディビジョン内順位 (8チーム中) | プレーオフ結果 |
2015−2016 | 3位 | 第1ラウンド敗退 |
2016−2017 | 7位 | 進出できず |
2017−2018 | 5位 | 進出できず |
2018−2019 | 7位 | 進出できず |
2019−2020 | 8位 | 進出できず |
現在4シーズン連続でプレーオフ進出を逃しているレッドウィングス。
黄金期が長かったこともあり、近年の低迷にはチームはもちろん、ファンも苦しんでいます。
NHLファンとしては、屈指の人気チームであるレッドウィングスがプレーオフで躍動する日を早く見たいですね!
注目選手
最後に、デトロイト レッドウィングスで注目すべき選手を、フォワード3人、ディフェンス2人、ゴーリー1人の計6人紹介します!
フォワード
ダイラン ラーキン(Dylan Larkin)
誕生日 | 1996年6月30日 |
身長 | 185cm |
体重 | 86kg |
ポジション | センター |
スティック | レフトハンド |
背番号 | 71 |
国籍 | アメリカ |
まず紹介するのは、レッドウィングスの未来を担う、ダイラン ラーキン選手です!
ミシガン州で生まれ、小さい頃からデトロイトでホッケーをしてきたラーキン選手。
ミシガン大学在学中の2014年にレッドウィングスから1巡目でドラフト指名されると、1年で大学を中退してプロの道へ進みます。
プロ入り後1年は下部チームで経験を積み、2015−2016年シーズンにトップチームのメンバー入りを果たすと、デビュー戦でいきなり1ゴール、1アシストの大活躍!
11月の月間最優秀ルーキーに選ばれ、オールスターにも出場するなど、期待にそぐわぬ働きを見せ、チーム内得点王に輝きます。
その後もゴール、アシストを積み重ね、順調に成長を続けるラーキン選手。
地元出身ということもあり、ファンからの人気も厚い彼が、レッドウィングスを低迷から救ってくれるでしょう!
アンソニー マンサ(Anthony Mantha)
誕生日 | 1994年9月16日 |
身長 | 196cm |
体重 | 102kg |
ポジション | ライトウィング |
スティック | レフトハンド |
背番号 | 39 |
国籍 | カナダ |
続いて紹介するのは、才能あふれる点取り屋のアンソニー マンサ選手です!
2013年にレッドウィングにドラフト1巡目で指名されたマンサ選手。
プロ入り後にいきなり怪我をしてしまい、最初のシーズンは下部チームでのプレーとなりました。
2年目の2016年、シーズン終盤の3月にトップチームであるレッドウィングスに招集されますが、10試合の出場で2ゴール1アシストにとどまり、再び下部チームへ。
しかし、そこで順調に力をつけて3年目からレッドウィングに定着すると、そこからメキメキと頭角を表します。
2019年には、チーム史上2人目となるホーム開幕戦での4得点を記録するなど、スター性も垣間見えるマンサ選手!
チームの柱としての活躍を期待したいですね!
タイラー ベルトゥージ(Tyler Bertuzzi)
誕生日 | 1995年2月24日 |
身長 | 183cm |
体重 | 86kg |
ポジション | レフトウィング |
スティック | レフトハンド |
背番号 | 59 |
国籍 | カナダ |
フォワード3人目は、タイラー ベルトゥージ選手!
2014年にレッドウィングスと契約し、プロの世界に足を踏み入れたベルトゥージ選手。
キャリア序盤は下部チームでプレーすることが多かったものの、2017年には下部リーグのプレーオフでMVPに選ばれる活躍を見せ、チームの優勝に大きく貢献するなど、才能の片鱗を見せていました。
2018−2019年シーズンに完全にトップチームに定着した彼は、3月終盤から4月序盤にかけて、4試合連続で3ポイントを記録する大活躍!
レッドウィング史上初の快挙としてチーム史に名を刻んだベルトゥージ選手は、シーズンを通してチーム最多となる21ゴールを挙げました。
NHLのレベルにも慣れ、ますますパフォーマンスに磨きがかかる年齢に差し掛かったベルトゥージ選手。
一気にスターダムにのし上がれるか、注目です!
ディフェンス
フィリップ ホロネック(Filip Hronek)
誕生日 | 1997年11月2日 |
身長 | 183cm |
体重 | 77kg |
ポジション | ディフェンス |
スティック | ライトハンド |
背番号 | 17 |
国籍 | チェコ |
ディフェンスの1人目はフィリップ ホロネック選手です!
レッドウィングスから2016年に2巡目でドラフト指名されたホロネック選手。
NHLデビューは2018年10月と遅めでしたが、ポテンシャルの高さを発揮し46試合で5ゴール、18アシストの23ポイントを挙げました。
これはその年のレッドウィングスのルーキーで最多であり、またリーグのルーキーのディフェンス選手の中でも4位という好成績でした。
デトロイトのメディアが選ぶ、レッドウィングのルーキー オブ ザ イヤーにも選ばれたホロネック選手。
今後の成長が楽しみな若手選手です!
マディソン ボウイ(Madison Bowey)
誕生日 | 1995年4月22日 |
身長 | 188cm |
体重 | 90kg |
ポジション | ディフェンス |
スティック | ライトハンド |
背番号 | 74 |
国籍 | カナダ |
ディフェンスの2人目はマディソン ボウイ選手です!
2013年に、ワシントン キャピタルズから2巡目で指名を受け、プロの世界に足を踏み入れたボウイ選手。
2017年10月にNHLデビューを果たすと、そのままトップチームに定着します。
そのシーズンのプレーオフでは出番がなかったものの、決勝でベガス ゴールデンナイツを破ったキャピタルズの一員として、若くしてスタンレーカップを手にします。
翌シーズンも開幕からメンバー入りを果たしますが、2019年の2月にトレードでレッドウィングスへ。
移籍後はレッドウィングスの主力ディフェンスとしてチームを支えています。
ジュニア時代はカナダの代表として、3つの国際大会を制した経験もあるボウイ選手。
これからもキャリアを積み重ね、チームに欠かせない存在となっていくことでしょう!
ゴーリー
ジョナサン バーニエ(Jonathan Bernier)
誕生日 | 1988年8月7日 |
身長 | 183cm |
体重 | 83kg |
ポジション | ゴーリー |
キャッチハンド | 左手 |
背番号 | 45 |
国籍 | カナダ |
最後に紹介するのは、苦労人のベテランゴーリー、ジョナサン バーニエ選手です!
2006年にドラフト1巡目、全体11位という高い評価を受けてロサンゼルス キングスに指名されたバーニエ選手。
翌2007年9月にロンドンで行われたシーズン開幕戦に先発し、1失点で見事勝利を挙げるなど、華々しいNHLデビューを果たしました。
しかし程なくして、キングス史上屈指のゴーリー、ジョナサン クイック選手の台頭により出番を奪われてしまいます。
クイック選手のバックアップに甘んじることの多かったバーニエ選手は、2012年のプレーオフでバックアップ ゴーリーとしてスタンレーカップを獲得しますが、プレーオフでの出場はなし。
翌年のオフシーズンにトロント メープルリーフスにトレードされてしまいます。
2013−2014年シーズンには、激しいポジション争いに勝って守護神の座を射止めますが、シーズン終盤に古巣であるキングスとの試合で下半身を痛めてしまいます。
その後2年間は正ゴーリーとしてプレーするも、低迷するチームの中で思うように成績を残せず、2016年オフにアナハイム ダックスへ再びトレード移籍。
ダックスでも若手ゴーリーのジョン ギブソン選手の後塵を拝して出番がつかめず、オフに自由契約となって今度はコロラド アバランチへ移籍します。
アバランチでは怪我に悩まされて思うように試合に出られず、正ゴーリーの負傷により出番が回ってきたプレーオフでも怪我で途中退場。
結局アバランチも1年で去ることとなり、2018年オフにレッドウィングスにやってきます。
レッドウィングスでもチームの顔であるジミー ハワード選手のバックアップという構想でしたが、2019−2020年シーズンはハワード選手が著しくパフォーマンスを落としたこともあり、ついに正ゴーリーの座を獲得!
数々のチームを渡り歩き、辛酸を舐め続けたバーニエ選手ですが、ようやく掴んだチャンスをモノにして不振に喘ぐチームの救世主になることに期待しています!
頑張れ、バーニエ!!
まとめ
NHL屈指の人気チーム、デトロイト レッドウィングスの紹介でした!
歴史ある名門ですが、近年は低迷してしまっているので、選手もファンも悔しい思いでいることと思います。
しかし、レッドウィングスの歴史を見ると、低迷期の後には必ず黄金期が訪れています!
デトロイトの街もとても魅力的ですし、ホッケータウンと呼ばれるほどアイスホッケーが根付いています。
NHLファンなら、一度は訪れてみたいですね!
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