NHLのオフシーズンを盛り上げるフリーエージェント(FA)制度。
選手の移籍が一気に活発化し、この時期の動きの巧拙が次のシーズンの結果を左右すると言っても過言ではありません。
ただ、NHLのFAって複雑でよくわからん…って人も多いのではないでしょうか?
ということで、この記事ではFA制度について解説していきます!
FAがわかると、オフシーズンがもっと楽しめますよ!
フリーエージェント制度とは
フリーエージェント制度とは、チームとの契約が満了した選手が自由契約となる制度のことです。
基本的には、契約満了の選手は6月1日に一斉にフリーエージェントとなります。
NHLのほとんどの選手は、エントリードラフトを経て各チームに入団します。
つまり、選手は自身でプレーするチームを選ぶことはできないのです。
フリーエージェント制度は、そんな選手たちが各チームと自由に交渉し、プレーするチームの選択肢を与える制度といえます!
年齢を重ねていたり、キャリアが長い選手と、若くキャリアの短い選手では、フリーエージェント制度の条件が異なります。
これから2種類のフリーエージェントについて説明します!
UFA(アンリストリクテッド フリー エージェント)
UFA(アンリストリクテッド フリー エージェント)とは、日本語訳すると「制限のない自由契約選手」のことです!
所属チームとの契約が終了した、27歳以上またはNHLで7年以上プレーした経験がある選手は、自動的にUFAとなります。
UFAになった選手はどのチームとも自由に契約交渉できるようになります。
獲得を希望するチームとの契約交渉は、エントリードラフトの翌日から解禁されます。
2020年はコロナウイルスの影響でイレギュラーでしたが、通常は6月30日が交渉期限です。
新たな契約は複数年契約ももちろん認められていますが、現在は最長でも7年契約までと決められています。
また、UFAになった選手が移籍してしまった(選手を失った)チームに対しての補償は特にありません。
RFA(リストリクテッド フリー エージェント)
RFA(リストリクテッド フリー エージェント)とは、日本語訳すると「制限付きの自由契約選手」のことです!
比較的シンプルなUFAに対し、RFAは結構複雑です。
頑張ってわかりやすく書いていきますね!
RFAになる条件
契約終了時に26歳以下かつ、NHLでのプレー経験が7年未満の選手(=UFAになる条件を満たさない選手)はRFAとなります。
クオリファイング オファー
RFAになった選手が所属するチームは、その選手に対してクオリファイング オファーを出します。
このクオリファイング オファーには以下の条件が定められています。
- 前年の年俸が66万ドル未満の選手には、前年の110%以上の年俸を提示する。
- 前年の年俸が66万ドル〜100万ドルの選手には、前年の105%以上の年俸を提示する。
- 前年の年俸が100万ドルを超える選手には、前年と同額以上の年俸を提示する。
このクオリファイング オファーに対して選手が合意すれば、契約延長となりその選手はRFAではなくなります。
しかし、もしチームがクオリファイング オファーを出さなかった場合は、その選手はUFAとなり、どのチームとも自由に契約交渉ができるようになります。
また、もし選手がクオリファイング オファーを拒否した場合、選手はRFAのままとなります。
オファーシート
RFAになった選手に対し、その選手を獲得したい他のチームはオファーシートを提出します。
このオファーシートには契約年数、年俸、そして出来高が記載されます。
選手がオファーシートにサインした場合、その選手が所属しているチームはオファーシートに記載されている条件でその選手と契約することができます。
もしオファーシートの条件で契約しない場合、選手はオファーシートを提出したチームと契約し、移籍します。
例.
Aチームのマイク選手がRFAとなり、Bチームから年俸100万ドル、3年契約のオファーシートが出された場合、Aチームは以下のどちらかを選択しなければなりません。
- Bチームがオファーした条件(年俸100万ドル、3年)の契約をマイク選手と結ぶ。
- オファーシートを拒否し、マイク選手は年俸100万ドル、3年契約でBチームへ移籍する。
ひとたび選手が他のチームから出されたオファーシートにサインしたら、所属チームはクオリファイング オファーの内容を変更することはできません。
所属チームの選択肢は、出されたオファーシート通りの契約を結ぶか、契約を拒否して選手を手放すかの2択になります。
また、所属チームがオファーシートに合意して契約した場合、その選手を1年はトレード移籍させてはいけません。
選手を失ったチームへの補償
RFAとなった選手の所属チームがオファーシートを拒否し、選手が移籍した場合、選手を失ったチームは移籍先のチームから補償としてドラフトの指名権を受け取ります。
指名順位や指名権の数はRFA選手が新たに結ぶ契約の額によって決まるのですが、その基準は毎年変更されます。
補償が最も重いケースでは、なんとドラフト1巡目×4つ!
下手すれば4年間ドラフト1巡目指名ができないとなると、よっぽど魅力的な選手でない限りはRFA選手の獲得はできませんね。
年俸調停と締め切り
RFAの選手とその所属チームは、クオリファイング オファーで折り合いがつかない場合に年俸調停を申し込むことができます。
チームが「クオリファイング オファーの条件は重いなぁ」と判断した場合は、チームからRFA選手へ一度だけ前年の年俸からの減額を提案できますが、減額幅は15%を超えてはいけません。
逆にRFAとなった選手が「クオリファイング オファーの内容がしょぼいな」と判断した場合は、選手からチームへ年俸の増額を何度でも提案することができます。
しかし、12月1日までに契約を結べなければ、選手はそのシーズンは試合に出ることができなくなります。
また、選手は年俸調停をすると他のチームからのオファーシートにサインできなくなってしまうので、試合に出るためには期限内に所属チームと契約を合意する必要があります。
好条件を引き出すためとはいえ、駆け引きのしすぎは危険です!
まとめ
NHLのフリーエージェント制度について、お分かりいただけたでしょうか?
UFA(アンリストリクテッド フリー エージェント)は、キャリアを積んだ選手にプレーするチームを選択する権利を与えるための制度設計と言えます。
一方のRFA(リストリクテッド フリー エージェント)は、チームがせっかく育成した若手選手が早期にチームを離れてしまわないための制度設計である、と捉えると分かりやすいと思います。
フリーエージェント制度により、選手の移籍が非常に活発なNHL。
仕組みを覚えて、オフシーズンまでNHLを楽しみ尽くしましょう!
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